福井:結局これが先生がいちばん最初におっしゃっていたような、生活も仕事も、まあ人間関係もそうですし、国家であったり、そういったことにも応用が出来るようなものになるんじゃないだろうかと。誰もがヒラメクようになる、ということが何よりもいいんじゃないかと、ぼくは思うんです。
秋山:いいですね!ぼくは、そのことを考えたことがあるんです。塩野七生が書いた「ローマ人の物語」という本があるんですが・・・確か全部で15巻もあるんです。塩野七生が語っているんですが「人間は最終的には儚い、カエサルやローマ帝国のようなものでさえ、脆くも消え去った、人間の持ってる儚さ」ということを聞くと、アイデアが出るんだっていうんですけれど、人間の人生って、生まれて死ぬまで、まあ60年。その60年間の間に人間が、ものに気付いたり、分かるまでにたっぷりと時間がかかるんです。社会がひとつひとつ検証していかなくちゃならない。例えば僕とこうやって本を出していくにしても、こういう本を読む人がいったい何になるか。それを知るまで何なのかということが分かるまで、相当時間が掛かるんです。
人間一人の中に遺伝子として記憶されるものが確かにあるんだけど、記憶じゃなくて知識で得るものも確かにある。この知識が社会に貢献できるようになるには相当時間がかかる。貢献出来ないこともたくさんあるのかなっていうふうに思うんです。哲学はあれだけ難しいことをたくさん言ってきた。三千年も前のことや、一千年も前のことなんて誰も知らない。だからしょうがないから、学校のなかで哲学という授業を作るんです。そういう方法しか、今のところ他に見つからないと思うんです。
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福井:うんうん。
秋山:だから学校というのは絶対重要。政治家は教育を充実させなければならないとスローガンをかかげます。とにかく学校に行け、学校が解決するからとにかく行けと言って、しかし、政治家こそがちっとも教育を分かっていなかったりするんです。(笑)
福井:あはははは!(笑)前回の対談の時に、先生から「それは学校で教えたほうがいいんじゃないの」と。「学校で教えるというか、アイデアに関する学校を作ったほうがいいんじゃないの」というふうに言われてから、アイデアという学問としての考え方と、あと、どうしてもビジネスマンで、このアイデアの話というのはプラットフォームビジネスなんじゃないかなと思っているんですね。このプラットフォームがあって、そこで出てくる新しいアイデアっていうものが価値があるのであって、別にこれ(メソッド)を凄いだろって言ったとしても、そういうことには何にも価値が無くて、そこで新しいアイデアが一つでも生まれたり、誰かが幸せになるための何かね、仕組みが出来ることに価値があると。
秋山:そうだね!いつも聞くけど、プラットフォームという概念が物凄く新しくって、僕が聴いたときに「あっ、そう考えるか。場なんだって知ったときに、ぐっときましたね。」私もその後、考えてみたんですよ。
福井:ああ!
秋山:どこでもいい。「今日はみんな、今日はここで授業をやめよう」「外へ出て、芝生でやろうか?」とか。
福井:あああ!!!(笑)
秋山:「あそこにいってやろう」とか「今日はこっちでやろう」って言ってみんなぞろぞろ出て行って、環境を変えて、そのプラットフォームに行った時にしか感じられないもの、理解できないもの、そういう場に導き出す必要があるなあというふうに考えたわけ。ということは、プラットフォームというのはそれぞれ駅ですから、駅がいっぱいあるのだと、その駅の全てに、「場としての価値」があるんだと。
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